桑の葉茶の糖尿病に対する効果・効能について120%の真実を解説します。

桑=マルベリのお茶・青汁・サプリメントが血糖値を下げるってウソ?本当? 科学的研究報告や論文も交えて徹底的に検証します。

効果・効能について

【結論①】桑の葉に糖尿病の治療や症状の改善をする効果は、ある?ない?

投稿日:2017年10月8日 更新日:

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これまで、さまざまな大学や研究機関による論文や科学的データを取り上げながら、「桑の葉に血糖値を下げる効果があり、糖尿病に効く」という噂が果たして本当なのか、その真偽について考えてきました。

 
確かにそれらの研究内容を見ても、桑の葉に特に多く含まれる1-デオキシノジリマイシン(DNJ)は、糖尿病薬として使われるアガルボースやボグリボースと同じく、小腸で糖質の消化吸収を助ける酵素“α-グルコシターゼ”の働きを阻害する成分であることが分かります。

また、厚生労働省が定めている食薬区分において「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」にも登録されているほど、その効能は明らかとなっているのです。

 
しかし、にも関わらず、そのDNJを豊富に含む桑の葉や関連の健康食品に、正式の糖尿病薬と同じような効果や効能を期待すべきではないと言えるでしょう。

 

「えっ? ちゃんとした研究でも
『桑の葉には血糖値を抑制する作用が示唆される』
という結果が出ているのに、なぜ…?」

 
そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんね(^^)

 
そこでこの記事では、

 

  • 桑の葉には、確かに血糖値を抑制する作用が認められるけれども、糖尿病や耐糖能異常と診断された症状を治療・改善するほどの効果は期待できない。

 
その理由 を詳しく説明していきたいと思います。

 

一口に糖尿病と言っても、症状や程度は患者さんによりさまざまです。

糖尿病は、日本糖尿病学会が定めた診断基準があり、血糖値とヘモグロビンA1c (ヘモグロビンにグルコースが結合した糖化タンパク質のこと) の値が一定ラインを超えると、糖尿病であると診断されます。

糖尿病の診断基準については、こちらのリンク先が分かりやすいです。
Wikipedia 糖尿病

 
 
ただ、どんな病気でもそうですが、実際の病態や進行状況は人それぞれなのです。

糖尿病についても、担当のお医者さんが一人一人異なる患者さんの病状を個別に分析した上で、幾つも種類がある糖尿病薬のどれを服用するのか、あるいは治療方針を薬剤中心とするのか、それとも食生活や運動など生活習慣の改善を中心に行うのか…等、めいめい異なった治療方針で進めていくはずです。

 

例えば、働き盛りの男性に多いかもしれませんが、糖質よりもむしろ脂質やたんぱく質を摂りすぎるような外食中心の生活が続き、肥満になって引き起こされたインスリン抵抗性が糖尿病の原因である場合は、幾らα-グルコシターゼ阻害薬を処方して糖質の吸収だけを懸命に抑えても、治療効果として十分でないのは想像に難くありません。

このようなケースでは当然、DNJを多量に含むからといって桑の葉を摂取しても、効果はほとんどないわけです。

 

糖尿病は、体内で幾つもの不具合が複合的に重なって起こる病気なので、医師の処方する糖尿病薬にも、体内の一つ一つの症状に対応するために目的やターゲットを異にした複数の種類があります。

 
例えば、

  1. インスリンの分泌を促進し、グルカゴン (血糖値を上げる作用を持つホルモン) の分泌を抑制するための “DPP-4阻害薬”
  2. 細胞のインスリン感受性を上げてグルコースの消費を加速し、インスリン抵抗性を改善するための “ビグアナイド系薬”
  3. 糖質の消化吸収を妨げ、食後に大量の糖が血中に入るのを防いで血糖値の上昇を抑制する “α-グルコシターゼ阻害薬”

等があります。

 
さらに、“3” α-グルコシターゼ阻害薬 の中にも、

  • 最も効き目が早く、食事開始15分ぐらいから効果が現れ、食後早期の血糖値を強く抑える “ミグリトール”
  • 食後20~150分程度まで、比較的バランスよく血糖値を抑える “アカルボース”
  • アカルボースよりも効き目が穏やかで、糖尿病の前段階である『境界型糖尿病』でも保険適用が認められている “ボグリボース”

といった各種類があります。

そしてこれらの薬も、患者さんの病態によって異なる治療の方針に応じ、それぞれ使い分けられているのです。

 
糖尿病という病気は医師でも扱いが難しいとされ、糖尿病の専門医がケースバイケースできめ細かな対応をしなければならないと言われます。

そのような病気において、患者自身が自己判断で、医薬品ですらなく健康食品に過ぎない桑の葉製品で治療の代替にしようとしても、病状の改善はほとんど望めないということになりますね。

健康食品として売られている桑の葉商品には、本当に効果を発揮できる十分な量のDNJが含まれているかどうか疑問です。

① 天然の桑の葉に含まれるDNJはもともと濃度が低く、さらに産地や個体によっても含有量に差があります。

糖尿病の治療に特化して開発されたα-グルコシターゼ阻害薬には、血糖値を抑えるアカルボース、ボグリボース、ミグリトールといった効能成分を、人為的に極めて高濃度で配合してあります。

それに比較すれば、植物である桑の葉に天然に含まれるDNJは、それほど濃度が高くありません。

つまり、糖尿病と診断されるほどの高血糖に対して明らかな血糖値を下げる効果を現わすほどのDNJの量を摂るには、桑の葉を摂取するだけでは不十分だと思われます。

 

  • ※ 画像はイメージです。

「それならその分、たくさん摂取すればいいじゃん!」と思われるかもしれませんが、桑茶や青汁といった製品をそれほど一度に多くは飲めないというのが現状でしょう。
 
 
一部には、桑の葉エキスを高濃度に抽出して健康食品として市販している商品も存在するようです。
 
しかしそれらとて、メーカーが推奨する摂取量の目安の中に、果たして本当に有効量のDNJを含有しているかは分かりません。

 
さらには、桑の葉に天然に含まれるDNJの濃度は、桑葉の産地や個体によって差があります。

当然ながら、それを加工するメーカーや加工の工程、最終的に完成する商品の種類によっても変わってくるわけです。

 
このような事情を考え合わせると、健康食品として販売されている桑の葉商品から、糖尿病を改善するほどに効果的な高濃度のDNJを摂取することは、あまり期待しないほうがよいと言えます。
 

② DNJは法律的には医薬品なので、その含有量や含有の事実をパッケージに記載することは認められていません。

「それなら、桑の葉茶やサプリメント商品にDNJの含有量を記載して、消費者にも分かるようにしてくれれば助かるのに…」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、DNJ=1-デオキシノジリマイシンは「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に登録されており、法律上は医薬品扱いとなっています。

CHECK! 「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」とは?
 
厚生労働省が「食薬区分」の中で、加工食品や健康食品などに原材料として使用される成分や物質について、食品でなく専ら医薬品に該当すると判断したものをリスト化したのが「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」です。
 
「食薬区分」とは、口から摂取するものについて食品か医薬品かを明確に分類するために、それらを法律的に区別する根拠を厚生労働省が明示しているものです。
 
具体的な内容は、下のリンク先をご覧ください。
Wikipedia 医薬品-食薬区分
Wikipedia 成分本質 (原材料) が専ら医薬品
 
1960~70年頃、いわゆる健康食品が一大ブームとなりました。
それに伴い、まるで薬のような大げさな効能を謳って消費者を惑わせたり、逆に薬品といってもいいような強い成分を食品に配合して健康被害が多発するような商品が出回り、社会問題となりました。
 
そのため、食品と医薬品をはっきりと法的に区分し、それぞれに異なった対応をメーカーに求める必要が行政側にも出てきたというわけです。

 
 
したがって、まず医薬品でなく健康食品の中にこのDNJを人為的に配合することは、法律上許されていません

また、健康食品をつくる原材料 (この場合は桑の葉) の中に元からDNJが含まれているのは構わないのですが、このDNJを含有している事実をパッケージに記載する、あるいはその含有量を記載することも認められていません

 
もしこれらを行おうとすれば、健康食品ではなく医薬品としての認可を受けねばならなくなります。

医薬品として認可を受けるには、指定されたさまざまな研究や調査、ヒト試験などを経て、厚生労働大臣や都道府県知事の承認を受けることが必要であり、それには当然ながら膨大な時間と研究費がかかります。

健康食品を取り扱っている企業には中小規模のところも多く、医薬品認可はあまりにもハードルが高すぎるのです。

そのようなわけで、一般的な健康食品としての桑の葉商品には、DNJの含有量はおろか、DNJが含まれている事実自体が明確には記載されていない のです。
 

③ 市販されている桑の葉食品に、糖尿病改善に十分なDNJの含有量が期待できない理由のまとめ

これらのことから総合すると、

桑の葉茶や粉末、青汁といった、桑の葉をそのままの形で加工した商品については、実際にDNJを含有している量が、血糖値を顕著に抑制してくれる有効量には到底満たないと思われる。
有効成分を濃縮していると謳っている桑葉関連のサプリメントについても、本当に血糖値の抑制を期待できるだけのDNJの量が含まれているのかどうか、私たち消費者には知りようもない。

 
このように結論づけることができ、やはり医療機関で正式に処方される糖尿病薬と同様の効果を健康食品である桑の葉商品に期待することはできないと言えるでしょう。

【まとめ】健康食品である桑の葉や関連商品に、糖尿病や耐糖能異常を治療・改善する効果までは期待すべきではありません。

医師から糖尿病と診断されるレベルまで症状が進行すれば、あくまでも健康食品の一種である桑の葉茶やサプリメントに、それを治療や改善する効果までは到底期待できないと思っていいでしょう。

桑茶や粉末、桑関連の青汁やサプリメントなどは、あくまでも食習慣の乱れや運動不足が気になるような場合に、現在の健康を維持し、病気を予防する一助となることを期待しながら、生活リズムを整えると同時においしく飲んでいただくのがおすすめです。

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