桑の葉茶の糖尿病に対する効果・効能について120%の真実を解説します。

桑=マルベリのお茶・青汁・サプリメントが血糖値を下げるってウソ?本当? 科学的研究報告や論文も交えて徹底的に検証します。

研究データ・論文

桑の葉をデザートや主食に活用して糖尿病リスクを低下!? ■長崎県立大学シーボルト校の研究

投稿日:2017年7月10日 更新日:

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糖尿病や耐糖能異常を抱えている方には、一定の糖質制限がどうしても必要です。

特に、お菓子やスイーツなど甘い食べ物、さらにご飯やパン、麺類といった主食類も控え目にしなければなりません。

しかし逆に、糖尿病や耐糖能異常を患う方には、このような糖質系の食べ物を好む方が多いのも事実です。

 
今や人類にとって、食べることは単に肉体にエネルギーや栄養素を補給するだけでなく、毎日の生活に精神的な楽しみや喜びを与えるという大きな役割を果たしていると言えるでしょう。

そんな中、好きな食べ物が制限されることには、いくら病気の治療のためとはいっても非常に抵抗を感じる場合も少なくないのではないでしょうか?

 
そこでこの記事では、患者さんの人生の楽しみ・喜びを削ることなく、しかも治療の妨げとならないような加工食品を開発するために行われた研究をご紹介します。

つまり、

  • 甘いお菓子やスイーツ、おいしいご飯やパンを食べるのを我慢せずに済み、なおかつ血糖値の上昇も抑えられる。

 
…そんな夢のような糖質系食品の開発を目指しているのです。

本当にそんな食品ができたら…糖尿病や耐糖能異常の方にとってこれほど嬉しい話はないですね(^^)
 
 

目的は、糖尿病患者や耐糖能異常者でも安心しておいしく食べられる加工食品の開発

長崎県立大学シーボルト校では、通常は食事制限の多い糖尿病の患者さんでも楽しく食事ができるよう、糖質の吸収を阻害するDNJを豊富に含むとされる桑の葉を活用したデザートや主食の商品開発を目指して、桑の葉エキスの血糖値抑制効果について研究が行われました。

 
基本となる研究実験は、次のようなものです。

 
【実験の内容】
ショ糖と桑の葉エキスの水溶液を、健康な被験者に摂取してもらい、その後30分ごとに血糖値を測って変化の具合を調べます。

 

【実験の結果】

ショ糖のみ摂取の場合 食後すぐ (30分~1時間後) の血糖値上昇が140mg/dl前後と激しく、その後一気に80mg/dlまで急降下した。
ショ糖+桑の葉エキスの場合 用量依存的(※)に血糖値の上昇が抑えられ、その後も緩やかに低下していった。

 
(※) 用量依存的…薬などの量に比例して効果などの生じる可能性が高くなること。ここでは、桑の葉エキスの量が増えるにつれて血糖値を抑える効果が高くなること。

 

また血糖値の他に、インスリン分泌量も測定して変化を調べました。

こちらの実験でも、血糖値の場合と同様の結果が出ています。

 
つまり、桑の葉DNJが糖質の吸収を阻害したために、血液中を流れるブドウ糖の量が減り、結果、分泌されるインスリンも通常よりも少ない量で済んだということです。

(桑の葉成分が膵β細胞に直接作用してインスリン分泌を抑えたわけではありません)

 
血液中に必要なインスリンの量が減るならば、インスリンを分泌する膵臓の負担も抑えられますから、血糖値を下げるのに欠かせないインスリン機能を正常に保つ一助となり、それだけ高血糖予防の効果が期待できるというわけです。

長崎県立大学の研究 特徴その1:
桑の葉DNJのプレバイオティクス効果も調査

しかし、この大学の研究で特徴的なのは、血糖値とインスリン量の他に、呼気に含まれる水素の排出量を測定しているという点です。

なぜそんなものを測るのかというと、小腸で消化を阻害された糖質が、そのあとどうなるのかを調べるためです。

 
大腸に住む腸内細菌のうち、乳酸菌やビフィズス菌などいわゆる善玉菌と呼ばれるものは、小腸でほとんど消化されないまま大腸まで運ばれてくる食物繊維、糖アルコール、難消化性でんぷん等をエサとして発酵分解し、酢酸・プロピオン酸・酪酸などの短鎖脂肪酸を生成します。

 
そして同時に、炭酸ガス、水素ガス、メタンガスなどを産生します。

 
つまり、ヒトの呼気における水素の排出量が多くなるということは、腸内細菌の発酵作用が活発になっていることを示しているのです。

ですので長崎県立大学の研究では、DNJによってα-グルコシターゼによる分解・吸収が阻害された糖質が大腸に辿り着き、そこで善玉菌によって腸内発酵されているという仮説を立て、ヒトが桑葉を摂取したあとの呼気に含まれる水素量を測定することにより、それを証明しようとしたのです。

 
その実験の結果、ヒトが糖質とともに桑葉を摂取したあとでは、糖質のみを摂取した場合と比べて、明らかに呼気に含まれる水素の量が増加していることが確かめられました。

すなわち、DNJによって小腸で消化されなかった糖質は、大腸へと進み、そこで腸内細菌によって発酵分解されていることが明らかになったのです。

 
そして糖質が腸内発酵によって完全に分解されると、エネルギー損失が生じ、吸収されるカロリー量が約半分になると、長崎県立大学の研究者は主張しています。

また、このようにDNJの糖質吸収阻害作用が腸内発酵を促進することで、善玉菌の活性化を促し、腸内環境を整えるというプレバイオティクス効果も期待できるとしています。

 

CHECK! 「プレバイオティクス」とは?
 
① 食道・胃・十二指腸など消化管の上部で分解・吸収されず、
② 大腸に棲む有益な菌(乳酸菌・ビフィズス菌など)のエサとなってそれらの増殖を促し、
③ 腸内環境を正常な状態に整え、健康の増進に寄与する。
 
この3つの条件を満たす食品成分を指します。
 
現在、オリゴ糖類(フラクトオリゴ糖・ガラクトオリゴ糖 etc.)や食物繊維(ポリデキストロース、イヌリン etc.)の一部が、プレバイオティクスとして認められています。

長崎県立大学の研究 特徴その2:
桑の葉入りの加工食品を試験的に作成して研究

さらにこの大学では、これを加工食品にまで応用して研究しています。

つまり、桑葉の粉末やエキスを添加して食事やデザートとして食べられる加工食品を開発することで、食事制限に苦しみがちや糖尿病患者やその予備軍の方にも、ストレスのない豊かな食生活を享受してもらい、DNJによる血糖値の改善ばかりでなく、生活の質(Quality of life=QOL)をも高めてもらうことができます。

CHECK! ●“QOL”とは?
 
“Quality of life”の略で「生活の質」「生命の質」等と訳される。
 
病気やその治療による制限と苦痛のため、患者さんは往々にして人生の楽しみや意義を見失いがちです。
 
ただ病気を治すだけでなく、患者さんの生き甲斐や基本的権利・尊厳といったものに重点を置き、自分らしい生き方を妨げないような治療の在り方を患者さん自らが選択したり、それを医療者や周囲の人が手助けすることで、その患者さんのQOL=生活の質が向上します。
 
ここでは、糖尿病や耐糖尿異常の患者さんにとって、病気の治療を妨げず、なおかつ本人の好きなおいしい食事が可能になるという点で、血糖値の抑制効果が期待できる桑の葉入りの加工食品が患者さんのQOLを向上させる可能性を宿していることに注目しています。

 

カレーライスと味噌汁に桑の葉エキスを添加した実験

  • ※ 画像はイメージです。

実際に桑の葉エキスを添加したカレーライスと味噌汁を試作し、被験者に食べてもらって血液と呼気の状態を調べた研究データがあります。

 
味噌汁はご飯と一緒に食べてもらい、全体の糖質と桑葉エキスの量の割合が 10:1 及び 20:1 になるよう、桑葉エキスを味噌汁に添加します。

カレーライスも同様にして、カレーに桑葉エキスを添加します。

ここに桑葉エキス無添加、つまりごく普通の味噌汁とカレーライスも加え、以下のような計6種類の食事を用意します。

① カレー (桑葉なし) ② カレー (糖質:桑葉=10:1) ③ カレー (糖質:桑葉=20:1)
④ 味噌汁 (桑葉なし) ⑤ 味噌汁 (糖質:桑葉=10:1) ⑥ 味噌汁 (糖質:桑葉=20:1)
※いずれも白飯付き。

 

実験の方法

健常な成人12名に、無作為な順番で6回、繰り返し食事を摂ってもらいます。
前回の食事の影響を避けるため、1食ごとに1週間の期間を空けます。

採血は一度の食事のたび、食前に1回、食後は30分置きに6回、計7回行います。
呼気の採取は、食前に1回、食後は1時間ごとに8回、計9回行いました。
 

実験の結果

食後の血糖値とインスリン値の変化   

食後の血糖値と血液中のインスリン値の変化は、次の表のようになりました。

桑葉エキス無添加の
食事の場合
食後30分ののち、血糖値とインスリン値が一気に大きく上がった。
桑葉エキスを添加した
食事の場合
食後、血糖値とインスリン値は、桑葉エキス無添加の食事の後と比較して、有意に低い値を示す。
食後30分ののちにも、急激な上昇は示さず、桑葉エキス無添加の場合よりも半分ほどの値のまま、緩やかに下降した。

 
つまり、いま糖尿病発症の大きな要因としてクローズアップされている“食後血糖値の急上昇”を抑える効果が期待できるということですね。
 
 

呼気に含まれる水素ガスの有無   

また、呼気に含まれる水素ガスの濃度を調べたところ、次のようになりました。

  • 桑葉エキス無添加の食事の後  … 水素ガスの排出はほとんどなし。
  • 桑葉エキスを添加した食事の後水素ガスの有意な排出が観察された。

 
つまり、桑葉エキスを添加した食事の後では、桑葉に含まれるDNJによって吸収阻害された糖質が大腸にまで到達し、腸内細菌によって発酵分解されて水素ガスが発生していると推測されます。

 
この現象によって、最終的なカロリー消費が約50%にまで減ると長崎県立大学の研究者は主張していますが、これが事実かどうかはまだ疑問の余地があるところです。

 
ただ少なくとも、腸内細菌の発酵が盛んになれば、善玉菌が活性化して悪玉菌の活動が抑えられる整腸作用がありますので、腸内環境の改善やお通じの促進効果は、ある程度は期待してもよいかもしれません

 

【まとめ】血糖値の上昇を抑制できる桑の葉エキス入りのスイーツや加工食品が食べられる日も近い?

他にも長崎県立大学では、桑葉エキス入りの水ようかん、大福餅、ゼリー、食パンなどを試作して、同じように血液と呼気を測定する実験を行っています。

いずれの食品においても、上記のカレーライスや味噌汁の場合と同様の実験結果が得られたようです。

 
糖尿病になる方や血糖値の高い方は、えてしてスイーツやご飯・パンなど糖質の高い食べ物を好む傾向があると思われます。

ですので、桑葉エキス入りの加工食品が開発されることで、血糖値の上昇を心配せずそのような好みの食事を安心して摂ることができるようになれば、豊かな食生活を継続しながら治療や予防に専念できることとなり、患者さんや予備軍の方にはこの上ない朗報となるかもしれません。

 
もちろん、だからと言ってやはり食べすぎるのはよくありません(^^;)
ある程度の節制は求められるでしょう。

 
また、未だ研究の途上にあるプロジェクトですので、実際に商品開発がされ、私たちの身近な店頭に販売される日は、将来的にもう少し先のことになると思われます。

 
当分の間は、カロリー計算と糖質制限が欠かせない食生活となりそうですね。

これを機にあなたも、ローカロリー&ローファットな昔ながらの和食をベースとした食事習慣に切り替えてみませんか?

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